「生き方や感情は顔つきに表れる」という楠木新さん。著述家として多くの人を取材し、さまざまな「顔」に接してきた経験から、いつしか「顔の研究」がライフワークになったと言います。『豊かな人生を送る「いい顔」の作り方』第4回は、顔から始まる第一印象について、企業内で起きている実情にアプローチします。
採用担当者は
「いい人」ばかり
「顔」はコミュニケーションにおいて、極めて重要な役割を持っています。なぜなら顔は、第一印象の大部分をつかさどるパーツだからです。
そしてこの第一印象というのは、採用面接ではひときわ大切な判断材料となります。私は大手企業の採用責任者を務めた経験から、面接とは第一印象をもとに相手の本質を見極めていく作業であると考えています。
初対面の人間同士が顔を合わせる際、そこには必ず瞬時に第一印象が伴います。それはお互いさまのものであり、面接を受ける学生側もまた、面接者の印象から会社のイメージを膨らませていきます。
昨今のように少子化が進み、労働力確保のための競争が続く中では、企業としても当然学生に好印象を与えたい。そのため各社の人事部は、採用の前線にできるだけ雰囲気のいい人間を配置するのがセオリーになっています。
なお、ここでいう「雰囲気のいい」人とは、単純に顔のルックスの良しあしではありません。表情が穏やかな人であったり、トータルな意味で感じの良い人材を指しています。顔がその人自身を表すプラカードであるように、その企業の顔になると言っていいでしょう。