お酒のつまみやおやつという印象が強い魚肉ソーセージ。その一方で「添加物が入っていて体に悪そう」というイメージもあるが、昨今ではこうした見方も変わってきている。ピーク時より生産量は減少しているが、実はここにきて復調の兆しを見せているのだ。そこには、時代背景と企業の努力があった。マルハニチロと丸大食品に魚肉ソーセージの今を聞いた。(清談社 沼澤典史)
「健康に悪い」イメージ払拭で
高まる魚肉ソーセージの人気
魚肉ハム・ソーセージの生産量は1972年の18万491トンをピークに、年々減少。2023年は4万5815トンと4分の1まで低迷してしまった(日本缶詰びん詰レトルト食品協会の統計より)。
ただ、全国のスーパーなどの販売データを集計した日経POSによれば、1000人あたりの販売金額は、3月時点で前年同月比18%増の2431円と過去5年間で最高を記録。実際、魚肉ソーセージの大手メーカーであるマルハニチロと丸大食品の両担当者も「近年、右肩上がり傾向」という実感を示している。
人気の要因は、魚肉ソーセージの栄養が認知されたことや手頃な価格、そのまま食べるだけではないアレンジ料理の周知などがある。マルハニチロの加工食品ユニットチルド食品事業部すりみ食品課の福田憲滋副部長はこう話す。