ミスタードーナツが10月2日から期間限定で「台湾ゴハン祭り」をスタートした。ミスドの飲茶推しは今に始まったことではないが、ミスドを「ドーナツ屋さん」だと認識している層からすると、「台湾風ルーロー麺」「台湾風豆乳野菜麺」などのラインナップには多少の驚きがあるかもしれない。改めて、ドーナツショップがなぜ「お食事」を売るのか、その戦略を考えてみたい。(フリーライター 鎌田和歌)
「ドーナツ屋さん」なのに?
ミスドの「台湾ゴハン祭り」の評判
ミスタードーナツが飲茶メニューを始めたのは1992年で、実に今から32年前だ。
昼食の時間帯などにカフェに対抗するための取り組みだったと言われるが、無難な惣菜系パンにとどまらず、飲茶に取り組んだところが挑戦的であり、ミスドのブランド戦略にも一役買ったと感じられる。
油で揚げるドーナツと一緒に食べても重たく感じないための工夫か、飲茶メニューの点心や麺類は、比較的さっぱりしていたり、辛味を強調したりした味つけのものが多い。
飲茶メニューの定番が「汁そば」で、これはネギが乗っただけのシンプルな麺だが、そのシンプルさがウケるのか、昨年はカップ麺「家で食べるミスドの汁そば」が期間限定で発売されたほど。
また、食事系メニューの充実については、2017年に「ミスドゴハン」が始まっており、これも「幅広い時間帯で楽しめる」ちょうど良いボリューム感が目指されたラインナップだ。
ミスドのファンからすると飲茶など食事メニューの充実は今に始まったことではないが、一方でSNSなどを観察するとミスドの「台湾ゴハン祭り」と聞いて「ドーナツ屋さんなのに?」と感じる層も一定数いるようだ。しかしこのギャップが、ミスドの強みとも言えるかもしれない。