ビジネスもスーパーマリオと同じだと兄は言うのだ。1つひとつ、自分で道を拓いてゆくことが大切なのだ。

幕末の革命家から学んだ
ビジネスにおける「志」

 かつて、中学生のとき、正義と泰蔵は関ヶ原というシミュレーションゲームをしたことがある。石田三成と徳川家康に分かれて戦う戦略ゲームだ。

 兄は徹底して攻め立てた。1個の軍勢に対しても6個ぐらいで囲んだ。

 弟だからといって容赦はしなかった。

 企業の大型買収を行なってきた孫には、攻めのイメージが強い。

 だが、孫は大胆にして細心なのである。

「人一倍、手堅いと思います。でも、橋を渡ると決めたらダンプカーで進む」

 このことも泰蔵は兄から学んだ。

孫正義がカチン「何を考えとんのか、お前は!」→弟に伝授した「不思議な割り算」がめっちゃ参考になる『志高く 孫正義正伝 決定版』井上篤夫(実業之日本社文庫)

 志定まれば、気盛んなり。

 これは幕末の革命家吉田松陰の言葉である。いったん決心がつけば、いかなる困難にも立ち向かっていくことができると松陰は教えた。

 ビジネスにおいて、何をめざすのか。

 孫の青春時代に培われたもの――それは志であった。

 自分の仕事がこれからのデジタル情報社会に貢献するという強い自信、すなわち高い志である。