ミーティング中のビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

あなたは、新たな仕事に取り掛かる際、まずは何から始めるだろうか。著者の池田昌人氏は、ソフトバンクモバイルのマーケティング部に所属していた2008年、当時の社長を務めていた孫正義氏に「二次元のものをたくさん作れ。二次元の分析が重なって立体となり、より深い理解ができる」とアドバイスを受けた。孫氏の言う「二次元のもの」とは「表」を指す。以来、彼は仕事をはじめる際にあらゆる事柄を表にまとめるようになったという。表づくりの初動に必要な「5W1H」について解説する。※本稿は、池田昌人著『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

表を作る際に必ず意識する
「5W1H」の内訳とは

 具体的なシチュエーションがあったほうが、表の効力や、どのように表を使って考えていくかという方法論が、体感としてわかりやすいと思います。そこで、ここでは仮に、自社の新商品の体験会を上司のI部長に命じられたとして、表の作り方、表を用いた考え方を見ていくことにします。

 I部長は、ライバル会社の取締役B氏から「当社では商品理解とインフルエンサーを同時に構築していくために、先行商品体験会を設けている」という話を聞いたそうです。I部長は、自社でも商品体験会を展開したい、と業務指示を出しました。I部長からは、以下の希望も提示されています。

<I部長からの希望>
・体験会で商品を体験してもらうだけでなく、それ以外の特別なコンテンツも実施してほしい
・東京以外の主要都市でも展開
・全国で100名以上の体験者を作り、各地で「限定インフルエンサー」の呼称で活動してもらい、商品の差別化や理解促進を進める
・代理店や広告会社などの協力を得ながら、効果的になるべく早く適切な時期にタイミングを逃さず行ってほしい

 さて、こんなシチュエーションで、あなたはどんな体験会を企画すればいいでしょうか。

 ここから、2つの表を使って、新商品の体験会の企画について考えていきます。それぞれの表の活用法は後ほど詳しく説明していきますが、ここでは2つの表の違いについて、まずは理解をしてください。

 1つめは、私が「概要書」と呼んでいる表です。

 概要書の核となるのは、「5W1H」、つまり「When」「Where」「Who」「What」「Why」「How」です。本稿では「5W1H表」と表記していくことにします。

 5W1Hが「過不足なく情報を伝えるために網羅すべきもの」であるというのは、みなさん、なんとなくご存じかと思います。

「過不足なく情報を伝えられる」というのは、言い換えれば「その情報さえあれば、中身がわかる」ということです。そのため、この5W1Hを網羅して考えることで、抜け漏れなく情報を整理し、検討することができます。

 ただし、よく知られている「When(いつ)→Where(どこで)→Who(誰が)→What(何を)→Why(どうして)→How(どんなふうになった)」という順番は、まさに新聞記事など、事実をわかりやすく伝えることに特化したフレームです。

 今回のような、「与えられた情報を整理する」ためや「物事を決めたりアイデアを出したりする」ためのものではありません。