個人消費、コロナ禍前の水準
インフレの下で生活格差
4~6月期のGDP統計(一次速報)で、実質個人消費が前期比1.0%と5四半期ぶりにプラスに転じ、6月雇用統計で実質賃金も27カ月ぶりに前期比で増加に転じた。
しかし実質個人消費は前年比で見れば、▲0.2%で、コロナ禍前の2019年の水準をいまだ下回っている。
実質賃金はようやくプラスに転じても、税や社会保険料の引き上げで可処分所得が減ったり高齢化で年金収入だけの無職世帯が増えたりしているほかに、近年の日本経済が、中流層の貧困化(Screwing)とインフレが重なった「スクリューフレーション(Screwflation)」の脅威にさらされている。
ぜいたく品の物価は比較的、落ち着いているのに対して、生活必需品の値上がりが激しい「物価の二極化」が進み、生活必需品の支出割合が大きい低所得層や中流層が打撃を受け、消費低迷の大きな要因になっているのだ。
スクリューフレーションはロシアのウクライナ侵攻以降に深刻化しており、物価と賃金や経済の“好循環”は幻想にすぎない状況だ。