5分間が「タイムリミット」
リュック交換は重大任務
母親の泰子さんは歯科医師で、平日は院長を務める藤沢市内の歯科に勤務している。夕方、遍さんと塾の最寄り駅で待ち合わせて「学校用と塾用のリュックを交換する」という重大な役目を担っていた。
遍さんが学校から駅、駅から塾に移動する時間を考えると、タイムリミットは午後4時半からの5分間。毎朝塾のリュックを持って出勤し、時間に間に合うように歯科医院を出る。「これが一番大変でした(笑)」
順調に受験まで突き進んでいったかと思われる遍さんだが、常に成績の波はあり、「もう受験やめる」と言うことも何度かあった。しかしそんなときでも、勉強を放り出すことはなく、毎日のタスクはきちんとこなす。「学年プラス1時間」を目安に、学習量をキープしたのが勝因の一つだろう。
小6になって女子学院の過去問を解き始めた当初は、さすがは女子御三家、合格基準点にはなかなか届かなかった。最後まで苦手な国語と理科は苦戦したが、2月1日の受験本番に向けて徐々に成績は上がってきた。
「地道に継続してきたことが効いてきたのでしょう」(哲さん)
元旦だけは勉強を休んだが、家族旅行にも勉強道具を持参し、旅先で勉強。受験直前まで小学校は一日も休まずに通った。遍さんにとって、学校で友達とおしゃべりすることが“良い息抜き”になったという。
泰子さんが毎日交換していた「小学校用リュック」と「塾用リュック」
後輩から受験する先輩に手作りのお守りを渡すのが、洗足学園の伝統







