都会に憧れる人がいる一方で、地方移住を目指す人もいる。働き方が多様化するいま、Iターンはそのための現実的な選択肢といえるだろう。東京のIT企業から新潟のローカルベンチャーに転職した20代男性は「東京は修行の場」と割り切り、計画的に地方移住を実現。新卒入社から2年半で東京を離れるきっかけとなった経緯や、現在の暮らしぶりを聞いた。(取材・文/フリーライター 友清 哲)
コロナ禍で見切りをつけた
東京での生活
地方での就職を志す理由は人それぞれだが、2022年の夏から新潟県湯沢町にあるベンチャー企業、きら星にジョインした三浦佑太郎さん(27歳)の場合は「将来的に子育てをするなら、東京ではない地域が理想」という、長期的なライフプランに基づく選択だった。
「大学卒業後は目黒区のIT企業に就職して、プログラマーとして2年半ほど働きました。ただ、僕の場合はもともと、東京にずっといるつもりはなくて、自分のスキルを磨く場として東京に留まっていた、というのが正確かもしれません」
出身は茨城県日立市。大学時代を神奈川県伊勢原市で過ごした三浦さんは「プログラミングを覚えれば、働き方や働く場所の選択肢が広がるのではないか」と考え、卒業後の“仮の宿”を都内に据えた。
その2年半後に都会暮らしに見切りをつけることになったきっかけのひとつは、コロナ禍だった。
「僕は2020年卒なので、コロナ禍まっただ中の入社です。だから研修もリモートで、仕事も取引先企業に常駐するSES形式でしたから、社内の人とのコミュニケーションがほとんどない生活でした。そのうち、これでは東京にいる意味などないのではないかと疑問を覚え始めたんです」