アメリカ企業の多くは
移民や移民2世が作った
その結果、ソ連の全人口がナチに対する憎悪で団結してしまった。キャサリン・メリデール『イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45』(白水社、2020年)を読むと、赤軍の兵士が勇敢に戦ったのは、ナチに肉親を殺された復讐のためであることが分かる。
そのロシアも、併合した民族を適切に扱わなかった。そして、少数民族を虐待した。その後遺症は、チェチェン問題などとして、現代に至るまで尾を引いている。
ニューアメリカン経済研究基金が2019年7月22日に公表したレポートによれば、移民がアメリカの総人口に占める割合はわずか14%であるにもかかわらず、移民が創立した企業は、フォーチュン500企業のうち101社、移民を親に持つ2世が立ち上げた企業が122社あった。また、2011年以降にアメリカで創設された企業のおよそ3分の1は、移民が立ち上げた企業だった(注/ニューズウィーク、2019年7月23日)。
この傾向は、IT(情報技術)産業ではとくに著しい。IT革命は、アメリカに来たインド人と中国人によって実現されたと言われるほどだ。アメリカ人が優秀というよりは、アメリカは優秀な人々が能力を発揮できる機会を与えてきたのだ。そこにアメリカの強さがある。