「ピッチャーが全部、ゾーンの四隅に投げたら完全試合できる。それをやられたら我々は拍手するしかない。四隅に来たらごめんなさい!でいい。でも、1打席に何球かは甘い球が来るんや。それなのに四隅の難しいボールに目付けして、甘い球を見逃している。これはプロとして失格、切腹もん。清原や秋山(幸二)は、難しいゾーンまで自分のストライクゾーンを広げている。難しいところに気を取られて、甘い球を見逃しているから、本来3割打てるのに2割5分やら2割6分まで落ちているんやぞ」
100打席で25本のヒットを打てば2割5分だが、30 本ヒットを打てば3割である。広野によれば、このヒット5本の差は、技術の違いではなく相手投手にどう対峙するかという戦術によるものだ。「打率を上げろ」ではなく、「あと5本を打つにはどうすればよいか」を広野は説いた。
「2球目の甘いボールをファウルして、3球目に難しいコースに手を出して凡退している。この2球目を仕留めなきゃいかんぞ。配球もある程度わかるだろう。150キロの球が来るのがわかれば、指2本短く持て。そしたら、プロで生き残れる」