清原和博の類い稀な才能
「清原は落合博満と同じ」

 広野が就任したとき、清原はプロ3年目。1年目の1986年には、打率3割4厘、本塁打31本、78打点と高卒離れした成績を打ち立てた。2年目も29本塁打83打点と好成績だったものの、打率は2割5分9厘と前年に比べて落ち込んでいたのだ。

「清原は落合(博満)と一緒で、軸足の右足がバッティングの際に全然動かない。膝が割れたり、中に入ったりせず、母指球の上にある。打つ時にも、かかとが後ろに回らず、股関節がぐっと回るため、逆方向にも強い打球が飛ぶんです。清原の2年目はそれが崩れていたこともあり、この打撃理論を伝えて修正させたんですわ」

 これはまさに、広野がロッテの打撃コーチ時代に、落合に対して行った「いい状態を保ってやる」という指導だ。二軍のコーチは、一から技術指導を行うことが求められるが、一軍コーチはいかに選手の良さを見つけて調子を維持させ、モチベーションを上げるかが仕事になる。それが広野の信条である。

 広野はコーチ時代、常に投手の配球をチャートブックに記録していた。コーチ就任当初のシーズン前には、それを見せながら清原ら西武の野手陣にこう言った。