私は、厳しい指導者というスタイルを貫いていた。「自分は憎まれても嫌われてもいい。10年後にわかってくれれば、それでいい」と、自分自身にいい聞かせながら、あえて厳しく部員たちに接していた。

 選手たちにも「俺をとことん嫌っていい。反骨精神をもて」と話していた。

「自分の正しさ」を
相手に押しつけていた

 だが、彼らが学校を卒業してOBになってからは、それまでの対応とはうって変わって、親しみを込めて接していたのだ。

 それが当たり前だと思っていたから、私はそこから一歩を踏み出すことができなかった。それがいけなかったのだ。

 実際、私もそうやって指導を受けてきたし、そういう指導のもとで成果を出していたから、これが「正しい」と思っていた。

 だが今思えば、自分の指導スタイルを頑迷に貫き通していたから、私は流経大柏高校を花園優勝に導くことができなかったのだろう。

 あの頃に戻って選手たちとフラットな関係をつくり、内発的動機付けによって主体性を引き出す理想的な指導をすれば、私は間違いなく日本一になれるはずだ。