日本家族計画協会の調査(2020年)によると、60代男性の7割強が「セックスをしたい」と回答。また、山形大学医学部の研究により、異性への関心が低い中高年の男性は、早死にする傾向があることもわかった。そんななか、「60歳未満お断り」をキャッチコピーに掲げる風俗店が出現。“遊び慣れていない男性”が大半という同店の客は、どのように利用しているのか。本稿は、中山美里『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
「60歳未満お断り」
高齢者専用の風俗店とは
“60歳未満お断り”のキャッチコピーを掲げる老舗の高齢者専用風俗店「こころあわせ」をはじめ、顧客を50歳以上に絞った「赤い糸」、障がい者・高齢者専用の「まごころ」など、数は多くないが高齢者専用としている風俗店が全国にある。
もちろん、全年齢層を対象にしているお店に高齢者が足を踏み入れてはいけないということはない。実際、シニア割引を取り入れるといった方法で、使いやすさをアピールする店は数多くある。しかし、高齢者の中には「一般の風俗は使いづらい」と感じる人も少なからずおり、そういう方のために専用風俗はある。
ところで、高齢者が風俗店をはじめとする性的なサービスを利用している……そう聞いたらどのように感じるだろうか。「へえ、そういうこともあるのかもしれないな」と思うかもしれない。
だが、実際に、自分の親が利用していると考えたらどうだろうか。「いい歳してやめてほしい」と嫌悪感を抱くだろうか。「悪い女に騙されているのでは」と心配になり、詮索するだろうか。それとも、「個人の自由だから、別にいいんじゃないの」と性の自由を尊重するだろうか。