「『夜中に目が覚めてしまう』、そんな“中途覚醒”を治す方法があります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「中途覚醒」の治し方
「夜中に突然目が覚めてしまう」
「しっかり寝たはずなのに、朝起きたら全然スッキリしていない」
そんなこと、ありませんか?
そんな夜中の「プチ起きちゃった事件」が続くと、翌日のやる気がガタ落ちしてしまいますよね。
そんなうまく睡眠を続けられない状態のことを「中途覚醒」と呼びます。
中途覚醒が続いてしまうと、仕事や学校でもパフォーマンスが下がってしまいます。
今回は、そんな中途覚醒の原因と、もっと気持ちよく快眠を取り戻すための対策についてご紹介したいと思います。
中途覚醒の原因って?
中途覚醒の原因はいろいろとありますが、まずは「ストレス」が大きな要因になっています。
仕事のプレッシャー、人間関係のゴタゴタ、未来への不安などなど、心がモヤモヤすると、眠りが浅くなって夜中に目が覚めやすくなります。
しかも途中で起きてしまったときに「もうすぐ仕事が始まるな...」なんて考えたら、余計に寝付けなくなっちゃいますよね。
そのほか、生活習慣が乱れているひとにもよく起こります。
たとえば寝る前にスマホで動画やSNSを見ていると、脳が興奮してしまってリラックスして眠れなくなってしまいます。
「寝る直前のスマホタイム、やめなきゃな…」と思いつつ、ついつい寝落ちするまでいじっちゃう、そんなあなた。その習慣が中途覚醒の一因かもしれません。
さらに、お酒やカフェイン、寝る前の飲水なども中途覚醒と関係しています。
お酒を飲むと「リラックスして寝やすい!」と思うかもしれませんが、常飲していると眠りの質を悪くして、途中で起きる原因にもなってしまうんです。
また、カフェインは摂る時間帯によって眠りを妨げます。
最近だと寝る前にエナジードリンクを飲んでいる方もいるので、無意識にカフェインを取っていて、中途覚醒になっていることもあるんです。
そのほか、年齢や健康状態も、睡眠の質に影響します。
年齢を重ねるとどうしても眠りが浅くなってきて、夜中に起きてしまうことが増えますし、頻尿の人だと寝る前の1杯多く水を飲むだけでも中途覚醒につながってしまうこともあるでしょう。
中途覚醒を防ぐためのコツ
そんな中途覚醒を防ぐためには、生活のなかでちょっとした工夫をして、リラックスを心がけることが大切になります。
1. 寝る前のストレスをうまく整えるコツ
ストレスが中途覚醒の原因なら、まずは日々のストレスを減らしていきましょう。
おすすめは「寝る前にリラックスできる儀式」を作ること。
深呼吸や瞑想、軽いストレッチはリラックス効果が抜群ですし、また、日記にその日の気持ちを書き出すのも意外と効果あり。
「全部書いてスッキリしたし、寝よう!」って気持ちになります。
さらにお風呂やパジャマなど、「これから寝よう!」という意識を整えることで、睡眠へのストレスを減らしてリラックスにもつながります。
2. 寝室を居心地良くする
寝室が快適じゃないと、寝ていても不快で起きてしまいます。
室温はちょうど良く、照明はほんのり暗めにしてリラックスできる空間にしましょう。
また、最近の研究によれば耳栓やアイマスクで余計な刺激をカットすることで、睡眠の質が向上することもわかっています。
眠っていても目は光に反応しますし、耳は布のすれる音、人の歩く音などに敏感に反応してしまいます。
良いリラックスを作り出すためにも寝室は整えましょう。
3. 寝る前の習慣を変える
寝る前の1時間は「スマホ絶ち時間」にして、リラックスに専念しましょう。
スマホやパソコンからの新鮮な情報は、脳を刺激して興奮や不安を招いてしまいます。
また、よく眠りたい日の夜はカフェインやお酒を避けましょう。
よく眠るためには寝る前の習慣を整えることが大切です。
毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体が「この時間は寝る時間だ!」と覚えてくれます。
週末だからって寝すぎると、体内時計が狂って夜中に目が覚める原因になるので、休日でも適度な時間で起きるようにしましょう。
4. 軽い運動を取り入れる
朝日を浴びながら軽く体を動かすことで、夜に深い眠りに入りやすくなることもわかっています。
最近、運動不足で中途覚醒が起こっている人、家でもちょっとのスペースがあればできるウォーキングやヨガなんかは特におすすめで、体を程よく疲れさせて眠りをサポートしてくれます。
なにより「運動したな」と感じることは、脳にとってもご褒美に感じられる良い刺激ですので、まずは試しに取り入れてみてください。
「夜中に突然目が覚めてしまう」という中途覚醒は、ほんの少しの工夫で改善されることがあります。
「え、そんなことで...」と思うような取り組みでも、劇的に効果があることも中途覚醒にはよくあります。
中途覚醒に悩んでいるなら、今日からでもできることを一つずつ試してみてください。
ぐっすり眠れる夜を取り戻して、スッキリした朝を取り戻しましょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。