重なった手写真はイメージです Photo:PIXTA

「障害者の性」問題を解決するための非営利組織・ホワイトハンズの設立者・坂爪真吾さんが語る、知的障害を持つ方の性にまつわる諸問題。性に関するトラブルは、性的欲求の問題としての対処だけでなく、生活環境や人間関係を整理すれば解決することも可能だというが――。本稿は、大川 豊『大川総裁の福祉論!――知的障がい者と“食う寝るところ、住むところ”』(旬報社)の一部を抜粋・編集したものです。

子どもの性に関するトラブルの多くは
性的欲求以外の問題がからんでいる

大川 私は政治家や官僚のみなさんと知的障がい者の問題を考える勉強会にも参加しているのですが、そうした場では施設や保護者から「性の問題にどう対処したらいいのかわからない」「性教育をどうしたらいいのか」という相談がよく寄せられます。

坂爪 まずは知的障がいを持つ方の性にまつわる諸問題がどのように起きているかを調査して分析する必要があると思います。たとえば、私たちは「放課後等デイサービス」(注1)の現場で、性に関する問題がどのように起こっているのかのアンケートを取り、どう対応していけばよいのかを整理しています。

注1 障がいを持つ子どものためのサービスで、児童福祉法に位置づけられている。6歳から18歳の子どもが利用できる。自立支援、生活支援の活動があり、運動をしたり創作活動をするなどさまざまなプログラムが体験できる。

大川 それは興味深い調査ですね。

坂爪 職員と保護者を対象に行なったアンケート結果を簡単に説明すると、性に関するトラブルが起きる年齢は、小1~3の低学年が非常に多かったんです。通っている学級の種類で見ていくと、通常学級、支援学級、支援学校がそれぞれ3割前後でした。障がいの種類は、ASD(自閉症)、知的障がいの割合が多く、そのあとにADHDが続いています。

 実際に現場で起こっている問題としては、人前で服を脱いでしまう事例が一番多いようです。それに続いて「異性の子どもに対する性的接触」、「性的な言葉の連呼・からかい」などがあります。そのほとんどが小学校低学年ですから、性的欲求が理由とは考えにくいと思います。