大川 なるほど。

坂爪 性に関するトラブルの背景を見てみると、一番割合が多いのは「障がい特性」です。次に学校や家庭内での「精神的なストレス」、「生活技術の不足」と続きます。つまり、大部分は性的欲求以外の問題がからんでトラブルが起きています。

生活環境や人間関係を
整理するのが解決への近道

大川 一番割合が多い「障がい特性」とはどういう意味でしょうか。

坂爪 主に自閉症やADHDなど、対人コミュニケーションがとれない、人の気持ちが理解しづらいといった障がいに関連するものを指します。この結果をふまえると、性的欲求の問題として対処するのではなく、生活環境や人間関係を整理していく方法が解決の近道だと考えられます。

大川 自分が重度の知的障がい者の施設を訪ねた時、みんなの前でずっと全裸になっている方がいらっしゃいました。ところがずっと全裸というわけではなく、農作業や食事のときは服を着ていました。そうした様子を見ていて、なにかちょっとしたきっかけでコントロールできるようになるのではないかと感じました。