問題行動の背景を探っていくと
個人や社会の課題が浮かび上がる

坂爪 問題行動は一種のメッセージです。トラブルは個人的な課題や社会的な課題など、いろいろなものが積み重なって起こります。単純に押さえつけるのではなく、問題行動の背景を深堀りして対策を講じていけば、いずれ解決できると思います。

大川 問題行動の原因には、家庭の不和もあるのでしょうか。悩み、苦労されているときには両親のぶつかり合いもまた当然あるかと思いますが……。

坂爪 そうですね。障がいのあるお子さんの家庭は離婚率が高いんです。「お前が面倒を見ろ」と、夫婦どちらかにまかせてしまうのは本当によくない。離婚にいたると、どちらか一方に負担がのしかかって、つぶれてしまうケースがあります。これをなくしていきたいですね。

大川 親御さんが先に亡くなってしまうという問題もありますよね。私が知っている施設では「親亡きあとの終の棲家」というテーマで取り組みをしています。

 まず親御さんたちに対して「できる限りのことはわれわれがすべてやります。親御さんは自分たちのやりたいことをやってください」と伝えています。施設からそう言われることで、ご夫婦の仲も改善して、利用者の活動も活発になったケースがありました。

 ある程度のスキルをもった福祉従事者が充実していれば、ご家族の方も安心して本来の自分のしたいことができるようになるのではないでしょうか。