1993年にコミックス小売り業者向けのコンベンションで登壇したゲイマンは、複数のカバーといった収集価値の高いコミックスを投資対象として扱う傾向は、17世紀オランダで起きたチューリップの投機バブルと同じで、いつかは弾けると警告した。
「あまりに多くのコミックス専門店がバブルとチューリップを当てにしすぎています」とゲイマンは宣言した。
「私はカッサンドラではないので予言はできませんよ。あんなに素敵な体でも脚でもありませんし……いつの日かバブルは弾け、チューリップは倉庫で枯れて腐ります。コミックスは90年代有数の投資商品だと今度誰かが持ちかけてきたら、お願いします、チューリップの話を教えてやってください」。
業者たちは聞く耳を持たなかったが、ゲイマンの正しさはほどなく証明された。数年のうちにコミックス専門店の3分の2は潰れてしまったのだ。流通網は修羅場と化し、マーベル・コミックスは1996年に破産を申請した。
当時スタン・リーは依然としてマーベルの顔だった。マイティ・ソー、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー、そしてハルクなど、マーベルを代表するキャラクターの多くは、リーがアーティストと共同で創造したものだ。