プロ野球・ソフトバンクが、和田毅選手の引退を発表しました。体格に恵まれていたわけでも豪速球があったわけでもない、実は「ふつうの野球少年」だったという和田選手。そんな彼が日本の球界を代表するピッチャーになれたのはなぜだったのでしょうか? 「他のピッチャーよりも和田毅が優れている点」を和田選手自らが分析した記事を、引退発表を機に再掲載します。(構成/田中周治 写真/繁昌良司 初出:2018年2月13日)
人より優れていない点が、僕の優れているところ
他のプロ野球のピッチャーと比較して、和田毅が優れている点を一つだけ挙げるとしたら――。
こう聞かれると僕は答えに窮してしまう。具体的に何が優れているのか、どこが勝っているのか……自分ではなかなか簡単に見つけられないのだ。
元来がネガティブ思考なので、逆に優れていない点なら頭にパッと浮かぶ。
まず、フィジカル的な能力でいえば、僕はプロ野球のピッチャーの中で、真ん中より下に位置しているだろう。筋力には自信がないし、身体のサイズも小柄な分類に入る。それゆえに当然、投げるボールのスピードも群を抜いて速いというわけではない。