厚労省の調査によれば、高齢者世帯の収入における公的年金の比率は66%です。残りは自助でまかなうのが普通です。今後も引き続き、自助の意識を高めて準備をする必要があります。しかし報告書が効力を失ってしまえば、こういった内容を推進する政策は不可能になってしまうのです。

偏ったマスコミ報道と
「同調効果」で大きな話題に

 それにしても、なぜあれほどまでに2000万円の記事が話題になったのでしょうか。もちろん、偏ったマスコミ報道もその理由です。ただし、その一方で視聴者の心理の中にも、報道に注目してしまう原因があったのではないでしょうか。この心理について、行動経済学の視点で考えていきます。

 第1に、行動経済学における「同調効果」が影響していると考えられます。これは個人が無意識に人と同じ行動を取ってしまう現象です。集団と同じ行動を取ることで安心を得ようとする群集心理によるものです。イェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムが、この同調効果を実験によって実証しています。その方法は次のようなものです。