日本と同じく、急速に少子高齢化が進む中国。中国では長らく男性の定年退職の年齢は60歳だったが、63歳に引き上げられることになった。年金の納付期間や受け取れる年齢も延長される。この発表は中国社会に大きな衝撃を与え「今年最大の関心事」「もう年金を払わない」という声も上がっている。今回の決定に対し、なぜ中国の人々はここまで反発しているのか。(日中福祉プランニング代表 王 青)
中国で定年退職の年齢と、年金保険料の納付期間の引き上げが決定
9月13日、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、2025年1月1日から定年退職年齢を段階的に引き上げる決定案を可決した。定年退職の年齢は、男性はこれまでの60歳から63歳、女性は事務職が55歳から58歳、それ以外の職種が50歳から55歳へ、来年から15年かけて段階的に引き上げていくという。年金保険料の納付期間も、現在の最低15年から段階的に延長され、2039年には最低20年となる。
この発表は中国社会に大きな衝撃を与え、瞬く間に話題沸騰、その日最大の話題となった。多くの人々が「今年最大の関心事だ」と口にし、多くのSNSプラットフォームで注目度ランキング1位となっていた。生まれた年や月による定年退職年の早見表が急速に拡散され、現役世代は自分の定年時期を必死に確認した。
しかし、この決定に対する反応は概して否定的だった。SNS上では「65歳になって初めて年金を受給できるということであり、65歳まで働けるということではない」「65歳まで雇用が保障されるのは公務員だけだ」といった批判的な声が溢れた。これらの否定的な投稿はすぐに削除されたが、国民の不安と不満を如実に表していた。