「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20年~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイルなどによって大きく異なる」
一部を切り抜かれた報道を
マスコミも野党も利用した
ところが、マスコミ各社の報道において「老後資金は2000万円不足」という部分が独り歩きします。実際には平均1300万円~2000万円の不足は、貯蓄で補填できるという結果が示されているにもかかわらず、2000万円を新たに調達しなければならないかのような論調でした。視聴者の不安を煽りながら、ニュース番組の視聴率を上げようとします。
さらに、参議院議員選挙を控える状況下、野党がこの問題を政治的に利用しました。「2000万円の赤字分を自分で用意しなければならないのか」「100年安心と銘打った年金制度は嘘だったのか」などと与党を責めます。
これがまたニュースとなり、ネット上も「年金の破綻を国が認めたのか!」「保険料を払わせて自助努力はないだろう!」といった声で炎上します。
結局、麻生金融相は、国民の不安を煽ったという理由で金融審議会の報告書の受け取りを拒みました。