一時期は不真面目な学生の姿を見ると、正直、裏切られたような気持ちに駆られることすらもありました。いまから思えばそれぞれ違いがあることは当たり前だったのかもしれませんが、当時の僕はそれだけ福祉の夢に強い気持ちを抱いていたためか、みんながみんなそうではないということにそこではじめて直面し、戸惑いをおぼえたのです。
病気もなく、障害もなく、大学生活を満喫する学生たちと、僕が同じ土俵に立って勉強するためには、そんな彼らよりも努力しなければならない。
大学に入り、高校までとあまりに異なる環境とはじめての経験に戸惑い、ストレスを感じていると、次第に「なんで僕にだけ病気があるんだろう」「この人たちの何倍も自分は努力しているし、真面目に物事に取り組んできたはずなのに、なんでこの人たちは病気を持たずに生まれてきたんだろう」「僕は周囲の助けを借りながら自分でこれまでの暮らしを組み立ててきたのに、周囲のみんなは苦労することなくこの生活を得られているのだ」との答えの見当たらない想いが、ふつふつと湧いてきました。
それと同時に、「この世界はなんて不平等なんだろう」と思うことも増えました。