そして、そんな周囲の優しさに支えられてきたからこそ、自分は他人とは違う病気を持って生まれて来たけれども、自分の運命を恨むことなく、受け入れて生きてこられたのでしょう。

 しかし、大学でのこうした体験を通じて、「これまで僕は周囲の人が優しい人ばかりで、そのなかでずっと守られて生きてこられただけだったんだ」と知りました。

 世の中には、そうではない人もいるし、他人の病気を知っていたとしてもなんとも思わないような人さえもいる。大学に入って、はじめて本当の意味での“外の社会”にさらされたことは、本当に大きな衝撃でした。

「この道しかない」自分と
周囲との勉強姿勢のギャップ

 また、同じ講義を取る学生たちと僕の間で、勉強に対する姿勢にギャップがあったのも戸惑いの原因になりました。

 高校時代に思い悩んだ末に、「この道しかない!」と福祉の道に入ることを決めた僕は、とにかく真面目に講義を受けて、カウンセラーになりたいという想いでいっぱいでした。大学に行ったら、自分と同じように福祉の道に夢を抱く学生ばかりなのだろうと、ワクワクしていたのです。

 でも、いざ大学に行ってみると、同じような想いを持つ人にもたしかに出会いましたが、一方で、それぞれの学生が抱いていた将来への想いや福祉への関心には濃淡があると感じたのも事実でした。