これからは教育現場から根拠なき精神論や根性論を一掃して、脳のしくみや人間心理など、サイエンス(科学)の視点に基づいた教育を行っていかねばなりません。

 たとえば、アメリカの研究などでは、できるだけ幼児期に教育投資をしたほうが学習効果が高くなることが明らかになっています。

 アメリカの労働経済学者で、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授らは、「幼少期に適切な教育を受けることによって養われた学習意欲が、その後の人生にも大きく影響する」という研究成果を発表しています。

 大人になってからの経済状態や生活の質を高める上で、就学前教育が有効であることが実証されているのです。

 とくに、幼児期に適切な教育を受けた子どもは、物事をやり抜く力、集中力、コミュニケーション力といった非認知能力が向上・持続することがわかっています。教育投資効果は幼児期が一番高いのです。そうであれば、日本の課題は明らかで、7人に1人といわれている子どもの貧困問題にまずは集中的に取り組むべきです。