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社会に出てうまくやっていくには、子どもの頃のIQが鍵を握ると考えている人は多いと思います。しかしIQは遺伝によって決定されている部分が多いため、教育や本人の努力ではどうにもならない面が強いのです。実際には、社会に適応し活躍するために、IQよりももっと大切な能力があり、しかもそれは訓練で十分高められるといいます。その能力とは……?(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『勉強できる子は○○がすごい』から抜粋・再編集したものです。

学力や成績に大きく影響する
非認知能力とは?

 社会に出てうまくやっていくには知能、いわゆるIQが鍵を握ると言われ、知的能力の開発を重視した早期教育が盛んに行われているが、いくら知的能力が高くても、人間関係がうまくいかなかったり、忍耐力がなかったりして、社会にうまく適応していけない人もいる。社会に出て活躍しているのは、遺伝的に優秀なIQの高い人かというと、必ずしもそうではない。IQの高い人が必ずしも成功せず、IQが平均並みの人が大成功するということもある。

 そこで注目されるようになったのが、非認知能力とか情動知能、情動的知性などと呼ばれる能力である。

 非認知能力というのは、自分を動機づける能力、長期的な視野で行動する能力、忍耐強く物事に取り組む能力、自分を信じる能力、他者を信頼する能力、自分の感情をコントロールする能力などである。

 IQというのは遺伝規定性が強い、つまり遺伝によって決定されている部分が大きいため、教育や本人の努力ではどうにもならない面が強いということが、心理学の研究で示されている。もちろん知的刺激を与えることでIQの発達を促すことができるが、遺伝による持って生まれた素質は無視できない。