近年、偏差値にとらわれず、わが子の興味関心を伸ばす環境を選ぶ保護者が増加し、「中堅校」の注目が高まっている。とはいえ、御三家や早慶付属と比較して情報が少なく、学校選びが難しいのも事実だろう。そこで、特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾』の#7では、本命校候補としても併願校候補としても注目したい「プロ5人が厳選した偏差値30台、40台で狙えるお薦めの18校」を一挙に紹介する。学校のタイプもバラエティーに富むので、ぜひチェックしてほしい。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
わが子の興味関心を伸ばす
中堅校の志願者が増えている
史上最高レベルの激戦となりそうな2025年2月の中学入試だが、「御三家や準御三家を含めた難関校の志望者は減少傾向」(森上教育研究所の森上展安代表)にある。
では、志望者が増加した学校はどこか。実は25年入試に限らず、ここ数年の大きなトレンドとして、偏差値的には中位や下位の学校で志願者を伸ばす学校が増えていることがある。
四谷大塚情報本部本部長の岩崎隆義氏は「通塾期間が長くなったことで、学校選択の期間も長くなった。勉強をガリガリやらせるだけでなく、スポーツや音楽などわが子の興味関心を伸ばし、成長が見込める環境を選ぶ保護者が増加。価値観が多様化している」と指摘する。
実際、受験直前までサッカーと塾を両立するなど、勉強一本ではなく、習い事をやりながらの中学受験も増えている。また、少子化が加速していることもあり、中堅校ほど生き残りを懸けた改革への意識は高い。
「大学入試改革を意識した取り組みや、探究活動への取り組みを応援する姿勢は中堅校が先行している。算数1科目入試や算数理科入試など尖った入試の実施や、高大連携にも積極的だ」(首都圏模試センター教育研究所長の北一成氏)
近年は、受験前に文化祭や学校見学に行くことが当たり前になっている。その際、チェックされるのは進学実績や学習指導だけではない。
「勉強だけでなく、行事や部活も大事にする保護者が増えている。明るくて楽しさが伝わる学校で、立地に恵まれた学校は大きく飛躍する可能性が高い。学校側からSNSなどで発信する力も重要になってきている」(日能研入試情報室室長の井上修氏)
一方、注目度が高まっているにもかかわらず、中堅校の情報は御三家や早慶付属などの難関校と比較すると注目されるまでに時間がかかる。中堅校は学校の数も多いだけに、わが子に合った学校を選ぶのが難しいのが現状だ。
そこで、次ページでは識者5人が厳選した中堅校18を推奨理由と共に一挙に紹介する。偏差値は日能研偏差値で30台から50程度までの学校群だが、各校とも改革に着手しており、「6年後の出口」は現在の実績と様変わりする可能性もある。
近年では広尾学園や三田国際学園、さらにさかのぼると渋谷教育学園渋谷や洗足学園も偏差値を大きく上昇させて難関校の地位を確立した。「序列」が固定化している大学と異なり、変化が大きいのが中高一貫校である。
面倒見のいい学校も多く、私学の環境には興味があるが、「わが子に合ったペースで中学受験に挑みたい」という家庭も注目してほしい。子どもにもよるが、5年生夏ごろからの勉強でも十分に間に合うケースも多いはずだ。
学校のタイプも、次なる広尾学園を狙う国際派から、サイエンス分野を伸ばす女子校、改革に着手した伝統校、新校長招聘で進学校を目指す学校まで多岐にわたる。
わが子に合った環境で思春期の6年間を過ごすことは、子どもにとってプラスになる可能性が高い。本命校候補としてはもちろん、併願校候補としてもチェックしてほしい。