学校選びの決め手は幾つもあるが、「大学合格実績」は欠かせない要素だろう。そこで、中学入学時の難易度と比較して、「出口」である大学合格力が高い学校を炙り出す独自ランキングを作成した。中堅校からでも難関大学を狙える教育力を持った学校は一体どこか。特集『わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校』(全46回)の#3では、首都圏ほかの中堅100校のランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
入学時の難易度と比較して難関大学の合格力が高い
首都圏の中高一貫校は
中学入試の難易度はさほど高くないのに、「早慶上理」や「MARCH」といった上位の大学に多くの生徒が合格する「お得な中高一貫校」はどこか――。
そんな“レバレッジ”が利く学校を探すため、大学通信の協力を得て、中高一貫校の「レバレッジ度ランキング」を作成した。各学校の生徒が2023年にどこの大学に何人合格したのかを調べ、「卒業時偏差値」を算定。これを、その学校の「中学入学時偏差値」と比較することでお得度を探った。
ただし、23年に卒業した生徒が入学した6年前の中学入学時偏差値を比較対象とすると、その時点から偏差値が上昇した学校もあり、現在はすでにお得な学校ではない可能性がある。今も偏差値がインフレしていない隠れた高レバレッジ校を探す方が好ましい。
そこで、今後の学校選びの参考にすべく、直近の中学入学時偏差値(24年)から、回帰分析によって卒業時偏差値の理論値を算出。これと実際の卒業時偏差値との差を「学力伸長度」とし、「首都圏ほか」「関西圏」「東海圏・その他」のエリアと中学入学時の偏差値帯ごとにランキングを作成した。
なお、同様のランキングを過去の特集でも掲載している(特集『2024年「中学受験」直前! わが子が成長する中高一貫校&塾』参照)。当時のランキングを基にさらなる精緻化を図るべく、今回は推計に当たり、男子校か否かと、首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)に所在するか否かの属性を分析に組み込んだ。
その結果、これまで推計上やや過大評価されていた男子校のレバレッジ度が適正に見直され、反対に過小評価されていた学校が上昇するなどの変化が生じている。
レバレッジ度の高い学校は毎年の偏差値によって変わるという声もあるが、実際は常連校が存在する。また、いわゆる「面倒見のいい」学校が多く、教育力は高いのに発信力が控えめな伝統校もあるなど、傾向をつかむには有用だ。
とはいえ、もちろんレバレッジ度が高い学校が「わが子に最適な学校」とは限らない。自由な校風の学校や情操教育を打ち出す学校は、必ずしも大学合格実績に反映されず、レバレッジ度が低くなる可能性があるからだ。
また、特進コースや高校入学者が大学合格実績をけん引している学校があることにも注意が必要だ。その内実は、各学校の説明会などでしっかりと確認してほしい。
本特集の#2に引き続き、今回は首都圏ほかの中堅校のランキングを紹介する。トップには、過去のランキングでも上位に食い込んできた常連校がランクイン。そのほか、複数の女子伝統校が上位に登場している。早速だが次ページで、ランキングの詳細を見ていこう。