かつて人気が急上昇した東京都立中高一貫校の受検倍率が急降下中だ。そんな中、進学塾の早稲田アカデミーが専用コースの廃止を決めた。特集『わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校』(全46回)の#11では、一転、都立中高一貫校が不人気となった理由を追った。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
2024年の都立校受検は
倍率の下降トレンドが続く
早稲田アカデミーは2024年まで実施していた公立中高一貫校専門コースを、来年以降は廃止した。
「私立中学の併願校として公立中高一貫校を受験プランに組み合わせる人の割合が増加している」と、早稲田アカデミー中学受験部部長の丸谷俊平氏は話す。
東京都立中高一貫校10校の受検倍率(一般枠)は、コロナ禍以前の19年の4.5~6.7倍から24年は2.5~4.5倍まで下降し、4倍以下の学校が増加した(詳細なデータは次ページ)。
受検倍率の下降トレンドには、幾つか理由がある。
もともと、安い学費で中高一貫校に行けるという理由で公立人気に火が付いた。しかし、24年度から東京都で私立を含む高校の授業料無償化が始まる影響で、公立を無理に受ける必要がなくなった。
また、施設の良さやコロナ禍での生徒への対応、ICT(情報通信技術)導入の素早さ、グローバル教育の拡充などの面で私立の方が魅力があり、相対的に私立人気が高まったという事情もある。
次ページでは、公立中高一貫校と私立中学の併願が増えたことによる影響について見ていく。各都立校を具体例に、併願先の私立中学の具体的な学校名を挙げながら、「当日欠席・棄権率」が上がり都立校の辞退者が増える要因を明らかにしていく。