コロナ禍を経て昨今は、お互いの家を訪ね合うという習慣は失われつつあります。稀な機会であるため、実際お宅を訪問する場合、どのような立ちふるまいが求められるのでしょうか?茶人で慶應義塾大学特任教授の千宗屋さんの『お茶の若宗匠が教える「人づきあい」と「ふるまい方」 いつも感じのいい人のたった6つの習慣』より紹介します。
家を訪ね合う習慣失われつつあるが
マナーを知らなくて恥ずかしい思いをすることも
2020年頃から始まったコロナ禍の影響もあり、昨今は家を訪ね合うという習慣は失われつつあるようです。ごく親しい間柄や親戚どうしの行き来ではなく、威儀を正したご挨拶やあらたまったお礼などで人と会う場合も、ホテルや飲食店を利用するケースが多くなっています。
そんな時代だからこそ、自宅に客を迎えることは、双方にとって特別な時間になるはずです。招かれた側はもちろん招く側もまた、互いに大きな喜びや発見、深い心の通い合いを経験することができるのです。
かつて、客を迎えるのは、家の中でのハレの場である表座敷でした。ふだんは使わない座敷をその時だけ開け放ち、家族にとってもハレの時間を過ごしたのです。
子どもたちはきちんとした装いに着替え、正座してご挨拶することを覚え、接客の手伝いを通して大人に対する接し方や話し方を身につけました。
客と食事を共にする食卓は、緊張感を持ちつつ正しい作法を見て学ぶ場ともなり、家庭内でのマナー教育が自然とできていったのです。
マナーを知らなくて恥ずかしい思いをすることも、相手を不愉快にさせてしまうこともあるでしょう。だからこそ、そつない行動力を身につけて、大事な機会に集った人びと全員が快適で楽しい時間となるよう礼を尽くしたいものです。