とはいえ、極寒の地や酷暑の夏、大雨の時などに、決められたことだからとマナーにとらわれすぎるのは、むしろ違和感があります。そこは臨機応変に、常識的な判断を優先すればよいと思います。

 上司や目上の方の自宅などに招かれた場合は、スマートフォンがマナーモードになっていることを確認しておくことも、現代における心がけでしょう。

相手にお尻を向けない。
靴は前を向いたまま脱ぐ

 玄関に入り、「お上がりください」と促されたら靴を脱ぎます。

 その時、前を向いたまま脱いで上がり、相手になるべくお尻を向けないようにかがみこんで、靴の向きを変えます。

 玄関を上がる時からお尻を向ける人をよく見かけますが、お尻を向けることは相手や家に対して失礼な態度であり、敬意を欠いた横着なふるまいに見られます。靴を揃え直す際には玄関の中央を避け、続いて上がる人のじゃまにならないよう端に寄せましょう。

「いつも感じのいい人」が仕事相手の自宅に招かれたとき、座ろうとしない場所
イラスト:おおのたろう拡大画像表示

裸足で他人の家に上がらない。
バッグに靴下をしのばせて

 人間の足の裏というのは、思っている以上に汚れているものです。汗や脂はもちろん、サンダル履きなどで外を歩いた場合は、埃ほこりや細かな砂なども付着していることがあります。一日履いていた靴下を見れば明白でしょう。

 そんな状態で他人の家に上がることは、足裏の脂や汚れで廊下や床、畳を汚してしまうということ。裸足で他人の家に上がることは絶対に慎みましょう。これは、思いやりのマナーの第一歩として覚えておきたいことです。

 盛夏などでサンダル履きだった場合は、あらかじめ靴下を持参し、玄関先で身につけます。スリッパをすすめられたら、靴下を着用してから履くようにしましょう。

 茶席に招かれた場合、客は茶室に入る前に足袋を履き替えます。これは、道中の汚れを持ち込まないという配慮を表すもので、これもまた、招いてくださった相手先への心づかいなのです。