参加者たちによる、著者3人への質問が相次ぎ…

 最初のグループトークのテーマは、「書籍『シン・人事の大研究』を読み、印象に残ったこと、考えたこと、著者に尋ねてみたいことを共有しましょう」だ。持ち時間は15分。会場では、近くに座る人たちで5人程度のグループをつくり、オンラインの参加者たちは、振り分けられたブレイクアウトルームに向かった。会場の様子を見ると、膝をつきあわせる近距離のシチュエーションもあってか、皆が気さくにトークを行っている。

 終了後は、著者3人への質疑応答の時間に移った。会場での1人目の質問者は、規模の小さい企業に勤める方で、「人事担当が自分を含めて2人しかいないが、人数を増やせない。しかし、やることが増え続け、何から手をつけていいかわからない。どうすればよいか?」というものだった。中原先生は、大学の講義のように要点をホワイトボードに書きながら、仕事を棚卸しして、他の部署に渡せるものがあれば協力を願うことも必要だと提言し、田中先生も、「すべての業務を人事パーソンが行う必要があるのかを点検し、人事の課題を全社の課題と考えることで、違う糸口も見えてくるのではないか?」とアドバイスを送った。

 業務は増える一方だが、人手が足りない――こうした悩みを抱える人事パーソンは多いはずだ。すべてを抱え込まずに、課題に応じて、他の部署との連携を視野に入れることが大切なのだろう。

 書籍に書かれている「公平性」についての質問もあった。質問者が、「すべての従業員に対して公平であることは理想だが、それがなかなか難しい」と打ち明けると、中原先生は、「結果が平等になるのは難しいかもしれないけれど、関わり方を平等にすることはできる」と語り、一人ひとりの仕事をフェアに提供することの大切さを説いた。

 また、オンラインの参加者からは、「今日、ここに参加している人たちは、『人事について学びたい』『人事の仕事は面白い』と思って集まってきている人が多いと思うが、先生たちが『学びを楽しい』と思われたきっかけを知りたい」という質問が寄せられ、著者3人それぞれの丁寧な答えが印象的だった。