実家を出たら「自立した」なんていうのは嘘でして、毎月発生する、返済しないことがゆるされない負債を手に入れただけなのです。カネの奴隷。家賃や生活費という名の生存権を得るため、カネを稼いで賃金労働をするしか方法がなくなります。

 自由な時間を会社に売って、その対価としてカネを得て、それをそっくりそのまま大家に手渡すのです。あなたは稼いだカネが通過するトンネルになったのです。毎月の引き落としに必要な残高をつくるために生きている。自立して食っていこうなんていう意気込みを持つと、あっさりその構造に組み込まれてしまいます。

「学歴社会」と「奨学金」は
「ご主人様」が仕掛けた罠!?

 そのことに多くの人が気づきはじめているようで、無理してまで1人暮らしをする人は少なくなってきております。維持費とは生きていることにかかる、高すぎる税金のようなものなのです。

 いまどきマイホーム、マイカーと言って、人を借金漬けにはできません。クレジットカードを持たせたとしても、みんないつも一括払い、分割払いなんてしません、リボ払いなんてするのは、計画破産をたくらんでいる人くらいでしょう。

 賢く負債を背負わないようにする、カネの奴隷にならない人が増えている。そんな世の中で、どうやって低賃金、保障なしの労働者を確保するのか。

 ご主人様が考えた非正規労働者への道、民衆を納得させるスローガンに採用されたのが「大学くらい出ておいたほうがいい」というものです。

 高等教育を受けさせろ、教育はいいものだという刷り込みです。そんないいものを無料で与えず、ご主人様ときたら、高額な大学の授業料を設定し、それを払うための学生ローン(奨学金)まで用意して、民衆をうまく言いくるめ、からめとっているのです。

 無辜の民はなんだかわからないままに「いまどき大学くらい出ないと就職できないぞ(大学に行けばなんとかなる)」という、よく考えたらなんら根拠もない信仰を持ってしまい、疑うことすらしません。

 子どもだけではなく、親までもがそうなのです。中卒じゃ仕事がないぞ、高卒程度じゃいい仕事には就けない、せめて大学くらいということに、誰もなんの疑問も持ちません。中卒、高卒に仕事がないことが問題なのに、そのことを解決するより、進学して自分だけは学歴を得て助かろうと、みなが進学をするのです。

「大学に行けば選択肢が増える」は
ごく一部の者にしかあてはまらない

 大学に入るまでにも、塾や習いごとにバンバンお金を使います。貯蓄を減らすのは、負債を負わせるための大事な下ごしらえです。

「せめて大学くらいは」という言葉を信じて合格できた暁には、いよいよ本格的な強奪がはじまります。入学金やら授業料やら、どーんとお金を払わないといけません(私は大学の授業料は無料にするべきだと思っていますが、ここではその話はおいておきます)。

 これを親が払えるのならいいですが、ここで奨学金という学生ローンを使わないといけないとなったら、十代という若さで何百万という借金を背負うことになります。