選手個々のポテンシャルを
超える力を発揮した日本代表

 日産スタジアムに映し出された森保監督のメッセージが去来する。大切な試合を翌日に控え、準備しなければならないことがいっぱいあるはずなのに、この心配りはいったいどこからくるものなのだろう。

「神は細部に宿る」というが、チーム全体に相手を思いやる心が根づいている。そうしたチームだからこそ、困難な状況をお互いが補完しながら乗り越えていくのだろう。選手たちの笑顔に、私は翌日の試合の勝利を確信した。

 試合は、途中出場した三笘薫が立て続けに2点をあげ、2対0で勝ち、7大会連続7回目となるワールドカップ出場を決めた。

 ワールドカップカタール大会でのチーム別市場価値(選手年俸の総和)で日本が100億円程度だとすると、10倍以上の開きがあるドイツやスペインに勝つ(編集部注/グループリーグで、日本はドイツとスペインを撃破している)には、個々の力の総和を超えた強固な関係性があったからに他ならない。

 自己の利益以上に相手を思いやる彼らの姿勢に感化された私は、もう一度しっかり「三方良し」の精神で社会に「恩返し」しようと決意した。