前代未聞の暴動沙汰…「浦和レッズサポーター」が問題を起こしがちな真因とは?熱狂的な浦和レッズのゴール裏(※サポーターが問題行動を起こした試合とは異なります)
Etsuo Hara / Gettyimages 

今年8月、浦和レッズの敗戦後に憤慨したサポーターがピッチに乱入し、暴力や破壊行為に及んだ。日本サッカー協会(JFA)は違反行為に手を染めた浦和サポーター17人を特定し、日本国内で行われる全試合を対象とした無期限入場禁止処分を科した。暴力行為や小競り合いなど、過去に発生したJリーグファンによる問題行動の多くには、必ずと言っていいほど「浦和レッズサポーター」が関わっている。その理由は何なのか。記者会見におけるクラブ幹部の発言などから、その真因を探る。(ノンフィクションライター 藤江直人)

日本サッカーの公式戦では前例のない
浦和サポーターによる「暴動」

 暴徒化したサポーターが大挙して試合後のピッチに乱入し、暴力行為や破壊行為などに及ぶ――。公式戦で起こった前例のない暴動事案の数々が、日本サッカー界を大きく揺るがせている。

 問題の試合は8月2日に愛知・CSアセット港サッカー場で行われた天皇杯4回戦。浦和レッズが名古屋グランパスに0‐3で大敗した直後に、憤慨した浦和サポーターが次々とピッチへなだれ込んだ。

 ゴール裏のスタンドで浦和のフロントと話し合いの場を持っていた浦和サポーターが、横断幕の撤去に来た名古屋サポーターからかけられた言葉を「挑発」と受け取ったのが発端とされている。

 具体的にどのような言葉が飛び交ったのかは確認されていない。しかし、いかなる事情があったにせよ、立ち入り禁止エリアへ乱入して数々の違反行為に及び、最終的には愛知県警の警察官約50人が出動するなど、一時は収拾がつかなくなった状況を正当化する理由にはならない。

 浦和によれば、バックスタンドや名古屋側のコーナー付近にまで侵入したサポーターは約100人に上ったという。当初は、このうち77人に対して比較的軽い処分が下された。具体的には、リーダー1人に16試合、乱入を主導した31人に9試合の入場禁止処分(いずれも浦和戦が対象)がそれぞれ科され、残る45人には厳重注意が与えられた。

 ただ試合直後の時点で、警備員を押し倒すといった、浦和サポーターによる暴力行為を捉えた映像がSNS上で広く拡散されていた。それでも浦和側は、8月5日の記者会見で「暴力行為は確認されていない」と明言し、あくまでも事案翌日の3日までの調査で違反者が特定された、ピッチを含めた立ち入り禁止エリアに侵入した行為に対する処分だと説明した。

 しかし、一連の処分に対して「甘すぎる」といった批判が殺到し、浦和は同16日に緊急声明を発表。天皇杯を主催するJFAの主導で行われた事実確認調査の結果、暴力、破壊、危険、威嚇を含めた違反行為が40件にわたって確認されたと報告内容を修正した。