セレモニーの中で、日産スタジアムの大型再生装置に日本代表の森保一監督のメッセージが流れた。多忙を極める森保監督が私たちにわざわざメッセージを寄せてくれたのだ。

 その当時の森保監督は、まだカタールワールドカップの出場を決めていないタイミングで、メディアやSNSでは辛辣な批判も展開されているタイミングだった。

 そんな中で、自分のことで精一杯のはずなのに心を込めた「村井チェアマンお疲れさまでした」というメッセージに私は思わず涙した。

 森保監督の逸話はいろいろと聞く機会があった。新幹線の普通車に乗る若いコーチングスタッフに弁当を運んでいるとか、メダルを逃した東京オリンピックでも無観客試合の中で頑張ったボールボーイにお礼の挨拶に向かったとか。そんな彼の姿を見て、自分本位に生きるのではなく、仲間や社会のために力を尽くそうと日産スタジアムで決意した。

キャプテンの吉田麻也に導かれ
プレゼントされた背番号「8」

 日産スタジアムのセレモニーの後、私はJリーグを退任した。退任日は3月15日だが、兼任する日本サッカー協会の副会長の退任日は少し遅れて3月27日の予定だった。