東京ディズニーで「女子高生がタバコ吸ってます!」注意しようと近づいてわかった女性の正体写真はイメージです Photo:JIJI

東京ディズニーリゾートに57歳で入社し、65歳で退職するまで、私がすごした8年間をお伝えしよう。ゲストとの感動的な触れ合いもあったし、上司からの指示に疑問や不満を抱いたこともある。楽しいこと、ハッピーなことばかりの仕事などない。それはほかのすべての仕事と同様、ディズニーキャストだってそうなのである。
※本稿は笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記』(三五館シンシャ、2022年2月1日発行)の一部を抜粋・編集したものです

某月某日 コスプレ
制服姿でプカプカ

 スモーカーにとって現在の東京ディズニーランドは肩身の狭い思いをする場所だろう。

 開園当初、タバコが吸えないのはアトラクションの中だけだった。今では信じられないが、レストランを含めてどこで喫煙してもよかった。

 私がキャストになりたてのころ、すでに喫煙に対する規制が世間的にもパーク内でも進行していたが、それでも喫煙所はオンステージの随所にあった。その喫煙所が年を追って、にわかに減っていった。

 時代の流れとともに、今では園内に3カ所の屋内喫煙所があるだけとなっている。しばらく来園していなかったゲストは以前あった喫煙所がなくなっていることに驚くこともある。

 喫煙場所が絶滅しつつあるため、レストルームの個室や多機能レストルームの中、園内で死角になっている場所でこっそりと喫煙しているゲストがたまにいる。 ゲストが「あそこでタバコ吸っている人がいますよ」と教えてくれることもある。

 現場を目撃すれば、キャストとしては当然注意しなければならない。

「ビッグサンダー・マウンテン」の前で清掃作業をしていたときのこと。ゲストが近づいてきて困った顔でこう告げられた。

「ウエスタンランドの喫煙ルーム、女子高生がタバコ吸ってますよ」

 女子高生がタバコを吸っているという事態もたまにある。私はすぐにウエスタンランドの喫煙ルームに駆けつけた。

 たしかに、いる。上下ともに女子高の制服をまとい、頭にはミニーマウスのカチューシャをした女性がタバコをふかしている。