「店員さんに偉そうにする人」にいい出会いが訪れない、たった1つの理由とは?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「店員さんに偉そうにする人」にいい出会いが訪れない、たった1つの理由Photo: Adobe Stock

お客様でも「感じのいい人」

 先日、研修先の社員さんが結婚されるとのことで、お祝いの席に呼んでいただきました。
 同期を中心とした参加者からは「おめでとう」に続いて、「お相手はどんな人?」「どうやって知り合ったの?」などの質問が次々に向けられ、本人も幸せそうに、その一つひとつに答えていました。

 彼女がお相手のことを「こういうお店でも、店員さんに『です・ます』で話す人。会計のときも『ご馳走さまでした』って言う人」と答えたとき、女性参加者からは一斉に「なんか、わかる~!」という声が湧き上がりました。

 私はその言葉を聞いて、「きっと彼は、どこへ行っても感じのいいお客さんだと思われているんだろうな」と思いました。

 その場でふと、自分がアメリカで8年間、飲食店を経営していたころ、私たちサービス提供者にも丁寧に接してくださったお客様たちの顔を思い出しました。

 たとえば、「取り皿を持ってきて」といった、ちょっとした頼みごとでも、

「Could we please have an extra plate by any chance?(お手すきのときに取り皿をいただけますか?)」

 と表現するお客様が多くいました。
 猫の手でも借りたいほど忙しい日でも、こんなふうにこちらの都合を考慮した言い回しをされると、何とかして取り皿を持っていきたくなったものです。

 むしろ積極的に名前や好みを覚え、新メニューが出たりすると、店からサービスでふるまったりしていました。

感じのいい人には「出会い」が訪れる

 今、私はお客様対応の従事者を育成していますが、

「感じのいいお客様には、聞かれなくてもお得な情報を提供したり、ちょっとしたプレゼントをしたりと、最大限のことをしたくなりますよ」

 という話をよく耳にします。
 感じのいい人には、こちらも感じよくしたくなりますよね
 笑顔には笑顔が返るのと同じ、心理学でも「返報性の法則」として知られています。

 誰に対しても感じのいい人は、本人が気づかないうちに得をしています。
 最初に登場した「ご馳走さまでした」を言った彼は、その姿が彼女の目に焼き付きました。

 日常のちょっとした気づかいや丁寧な言葉が、自然と自分に返ってきて、思いがけない形で良い出来事につながることは、想像以上に多いものです。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。