誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
幸せは形ではない
今日は「幸せとは何か」についてお話しします。少し哲学的なテーマかもしれませんが、私なりの考えを共有できればと思います。
幸せって何だろう、と考えるとき、いろんな答えが浮かぶと思いますが、今日は特に伝えたいのは「幸せは形ではない」ということです。
幸せは、日常にふと訪れるものです。たとえば、天気がいいだけでも「ああ、幸せだな」と感じることだってあります。
何気ない幸せこそ
好きな人と雑談しているとき、友達から食事のお誘いがあったとき、そういった何気ない日常の瞬間にふと幸せを感じるものです。
形にこだわらず、どんな些細なことでも「いま、この瞬間が幸せだな」と感じることが、幸せそのものだと思うのです。
しかし、不思議なもので、こうした幸せの瞬間をごっそり見落とす人が多いんです。
形にこだわる不幸な幸せ
もっと大きな幸せを求めたり、形式にとらわれたりして、漠然と「何かが足りない」「もっと幸せになれるはず」と満たされない気持ちを抱えがちです。
たとえば、「出世=幸せ」と思い込んで必死に頑張る。もちろん、出世すれば一瞬は幸せに感じるかもしれません。
でも、その先には忙しさや組織内の不自由さ、自分の時間のなさに気づいてしまい、「これって本当に自分が望んでいた幸せなのかな?」と疑問に思うこともあるでしょう。
それだけで十分幸せなこと
また、「立派な家に住むこと=幸せ」と思って、住宅ローンを組んで実現したとしても、そこで友達と疎遠になったり、孤独を感じたりして、「幸せってこういうことだっけ?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
こういう状況が生まれるのは、「いま、この瞬間が幸せだな」という感覚を見落としているからだと思うのです。
形にこだわらず、特別な出来事がなくても、「この瞬間が幸せだ」と感じられる時間を積み重ねていくことができたら、それだけで十分幸せだと思います。
“幸せアピール”しなくてよくなる
そうすると、「自分は幸せなのかな?」と疑問を持つこともなくなりますし、他人に「ほら私、幸せでしょ」とアピールする必要もなくなるんですよね。
つまり、幸せって自分の感覚でしかないんです。「いま、自分はハッピーだな」というフィーリングを、心にできるだけ多く抱くようにする。それだけでいいんです。
幸せの感覚を研ぎ澄ます
幸せを形式や外部の条件に求めるのではなく、いま、この瞬間を大切にする。そうすれば、自分の心にある幸せの感覚がどんどん研ぎ澄まされていくはずです。
幸せは感覚、その感覚を見逃さないようにしていくことが、幸せになるコツだと思うのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。