突然のケガや病気で家族や自分が倒れたとき、その場での対処がその後を左右する。救命処置・応急手当てができなければ、救急車で病院に着いたときにはもう手遅れ……なんていうことにもなりかねない。正しい知識があれば、命を守れることもあるだろう。
そんな緊急事態を含め、身近な危険から身を守るための知識が楽しく学べる書籍、『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)が刊行された。心肺停止した人への救命処置から、危険生物に遭遇したときの対応、突然の災害から身を守る方法まで、さまざまな「生きる知恵」が網羅されている。
今回の記事では、『いのちをまもる図鑑』第3章「ケガ・事故からいのちを守る」から「ヒートショックの恐怖」について紹介する。
冬のお風呂で急増する「ヒートショック」とは?
寒い季節はお年寄りがお風呂やトイレでたおれがちです。
あたたかい部屋→寒い脱衣所→熱いお風呂、というように短時間のうちに寒暖差の激しい環境にさらされると、血圧が急激に上がり下がりして、体がたえきれなくなるのです。これをヒートショックといいます。
どうすればヒートショックになりにくい?
ヒートショックをふせぐためには、寒い季節は脱衣所やトイレに小さな暖房器具を置いて、寒暖差を作らないようにしましょう。
もし、家族がヒートショックで倒れたら……
では、万が一、家族がお風呂で倒れてしまったら、どのような対処をすればよいでしょうか? クイズ形式でご紹介しますので、考えてみてください。
【問題】
お風呂に入ったおじいちゃんが、なかなか戻ってきません。
おかしいな……とお風呂のドアを開けたら、おじいちゃんがぐったりしてる!
まず、どうすればいい?
① 水をかける
② お湯をかける
③ 顔をたたく
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【正解】
お風呂で人がぐったりしていたら、顔をたたく
ぐったりした人を発見したら、まずは意識があるかを確認します。顔をたたいて反応を確かめましょう。
反応がなければ救急車を呼び、おぼれないようにお風呂のお湯をぬきます。その後、体が冷えないように毛布で体をくるみます。
意識がない人を子どもの力で浴槽から引き上げるのは難しいので、家に大人がいれば浴槽から出してもらい、ふだんどおりの呼吸がなければ救急が来るまで胸骨圧迫をおこないます。
「のぼせたのかな。よし、水で冷やそう!」と水をかけるのはNG。ぐったりしている人の口に水が入ると窒息する危険があるのでやめましょう。お湯をかけるのはさらに意味のない行為です。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』(監修:池上彰、今泉忠明、国崎信江、西竜一 文:滝乃みわこ イラスト:五月女ケイ子、室木おすし マンガ:横山了一)を抜粋・一部加筆修正した記事です。