大妻女子大学名誉教授の大森正司氏によると、風邪やインフルエンザなどの感染症や食中毒、口臭を予防し、さらに生活習慣病を防いでダイエット効果もある「最強の飲み物」があるという。ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞いた。(大妻女子大学名誉教授 大森正司、ジャーナリスト 笹井恵里子)

感染症や口臭を予防して
ダイエットにも最適な飲み物とは?

大妻女子大学名誉教授の大森正司氏大妻女子大学名誉教授の大森正司氏(大森氏提供)

 今年は暖冬とはいえ、朝晩の寒さが堪える時期になりました。夏は冷たいものがおいしいですが、今は温かい飲みものを口にするとホッとしますね。さて、そんな寒い時期、一推しの「最強ドリンク」といえば何でしょう?

 風邪やインフルエンザなどの感染症や生活習慣病予防、口臭予防、ダイエットなどにも効果のある飲みものです――と説明して、この記事の最後に答えを出したいところですが、「お茶博士」として活動する私が話していては答えを言っているようなものですね(笑)。そうです、「お茶」です。

 お茶は健康に良いと、およそ800年も前から日本人に好まれてきました。日本人にとって、とてもなじみ深い飲みものです。

緑茶、紅茶、烏龍茶…
どの種類を選べばいいのか

 しかし具体的にどの種類のお茶がいいのか、またお茶に含まれる何の成分がどのように体に働くのか、そして効果的な飲み方まではご存じない方が多いのではないでしょうか。お茶は摂取の仕方次第で、たくさんの健康・美容効果が得られるので、詳しくご紹介しましょう。

 まず日本ではお茶といえば大抵「緑茶」のことを意味しますが、世界的に見ると一般的ではありません。イギリスではお茶といえば紅茶が、中国の一部や台湾では烏龍茶が飲まれてきました。

 意外に思う人もいるかもしれませんが、緑茶だけでなく紅茶も烏龍(ウーロン)茶もすべて同じ「茶の葉」から作られています。作り方(製法)が異なるために、色、味、香り、そして健康効果に違いがあるのです。

 茶葉は鮮やかな緑色をしていますが、摘んだ後に蒸気をかけて酸化酵素を殺してしまうと、葉の色は緑色のまま、つまり緑茶になります。しかし摘んだ葉をもむと、茶葉中の酸化酵素が茶成分のカテキンを酸化して茶色に変色し、紅茶に。そしてこのカテキンの酸化を途中で止めると、烏龍茶になるのです。

 お茶の製法の違いを説明する際、「発酵」という言葉がよく用いられますが、それで表現をすると緑茶は茶葉が「未発酵」の状態、烏龍茶は「半発酵」、紅茶は完全に「発酵した」ものです(※)。

※科学的には、有機物に微生物が作用し、その結果として人間が利用できるようになった場合に「発酵」と呼ぶので、微生物に関係しない紅茶、烏龍茶の発酵は、厳密には化学反応(茶葉の中で水や酸素が加わって変化する付加反応)になります。

 お茶に含まれる三大健康成分――「カテキン」「カフェイン」「アミノ酸」は緑茶、紅茶、烏龍茶のどのお茶にも含まれますが、淹(い)れ方や製法によりその含有量が左右されます。