モニッシュ・パブライは十数年前、ヒーローとして敬愛するウォーレン・バフェットと食事する権利をオークションで競り落とし、話題を呼んだ。パブライと同僚のガイ・スピアーがバフェットと食事するために支払った65万ドルは、女性の若手起業家を支援する慈善団体に寄付された。

 数年前のある午後、僕はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の10人ほどの金融専攻の学生に混じり、ロサンゼルスの南にある都市アーバインにパブライのオフィスを訪ねた。めったにインタビューに応じないパブライと会える。僕は胸を躍らせていた。

最高の投資家が語った
「投資ポートフォリオ」

 パブライはすぐに僕らの緊張をほぐしてくれた。にこにこして愛想がよく、自分の知識と知恵を若者と共有できるのが嬉しくてたまらないという様子で、読書や思索に使う日当たりのよい整然とした小部屋など邸宅内を案内してくれた。廊下の突き当たりには扉があり、その奥の小部屋にはベッドが置かれていた。

「ここで昼寝をするんだ」とパブライは言った。「ほぼ毎日、午後にね。しっかり休息をとると頭がよくまわるからね」

 数時間にわたって自らのキャリアを語ったり学生からの質問に答えたりしたあと、パブライはお気に入りの韓国料理店に私たちを招待し、スパイシーな焼肉を食べながらさらに対話を続けた。

 私は市場の下落にも一切動じないんだ、とパブライは言った。2008~09年にかけての暴落の最悪期には、顧客から預かった運用資産の評価額が67%下落したという。ベア・スターンズやリーマン・ブラザーズのような巨大投資銀行がドミノ倒しのように倒産していった。

「それから何年も経ってから、2008年に投資家から送られてきた手紙を妻が見つけたんだ」とパブライは言った。

「そこで67%の下落という事実を知った妻は仰天していた。『おかしいわね。あの年のあなたに変わったところなんかなかったわ。いつもとまるで変わらなかった』と言っていた。市場では時折、大規模な調整が起こる。それに対して私たちにできることは何もない。パニックしたって意味がないだろう?」