2023年に発足したルラ政権による財政赤字拡大を懸念して、通貨レアル安が進行している。堅調な景気もあり、低下していたインフレは底を打ち上昇に転じた。中央銀行は利上げに転じたものの、ルラ政権からの利下げ圧力を受けている。レアル相場は難しい局面が続きそうだ。(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)
3会合連続の利上げかつ
引き上げ幅を拡大したブラジル中銀
ブラジル中央銀行は、2024年12月10~11日に開催した定例の金融政策委員会(COPOM)において政策金利(Selic)を3会合連続で引き上げ、利上げ幅を1%(前回は0.5%)に拡大し、12.25%と丸1年ぶりの高水準とする決定をした。一段と『タカ派』姿勢を強めている。
次ページでは、ブラジル中銀が1年ぶりの水準に政策金利を引き上げた背景を振り返りつつ、物価動向、通貨レアルの先行きについて分析する。