経済成長で中国女性の意識は変わったが、男性側は昔のまま
離婚が増える背景には、女性の側の権利意識が大きく向上したこと、また女性も収入を得る手段を手に入れて経済的に独立しやすくなったことがある。また、社会が経済的に豊かになったことにより、生活スタイルや欲求が多様化し、個人化したことも挙げられる。これらの傾向が特に顕著な都会で離婚率が伸びていることもそれを裏付けている。
もう一つ、筆者の脳裏には、かつて地方から大学に進み北京で働いていた、ある未婚女性の印象的な言葉が焼き付いている。彼女はこう言ったのだ。
「経済成長と大学進学率の向上で、女性の地位は社会的に大きく前進した。でも、男たちの脳みそはいまだに伝統的な農村社会みたいだ」
この言葉を発した友人のように、経済発展や社会的チャンスを手に入れた女性たちは、人生とは可能性や期待感にあふれたものだと考えている。しかし、男性たちは伝統的な観念から解き放されていないというのである。
興味深いのは、『再見愛人』でも、この言葉がそのまま当てはまることだ。3組の夫婦のうち、妻たちはそれぞれ皆、夫との間に問題があることをはっきりと認識しているのに対し、夫の側は妻から突きつけられた離婚の要求にうろたえて、「離婚するほどのことではない」と考え、とにかく取りつくろうとするばかりなのだ。中には「愛しているとかそんなことより、とにかく適当にやればいいんだ。生活ってそんなもんだろ?」との発言も飛び出し、その後何度も、その言葉は出演者の間でやり玉に上げられていた。
番組に出演した夫婦の多くは再出発している
このリアリティ番組が人気なのは、「のぞき見」的な面白さのほかに、同じようなシチュエーションで同じような問題を抱えている人たちが実際にたくさんいるからだろう。さらに、それら夫婦が抱える問題に同調する一方で、その他の夫婦やスタジオコメンテーターの「第三者の目」によるコメントもまた、同じ思いを抱える視聴者にとって、日常では得られないヒントになっているのかもしれない。
実のところ、番組の過去シーズンに出演した9組のうち、実際に離婚に至った夫婦は、最初のシーズンに起用された時点ですでに離婚後1年経っていた元夫婦を除けば、わずか1組のみ。他の7組は番組出演を通じてさまざまな体験と意見交換をし、また第三者からのコメントを受け取った結果、夫婦として再スタートを切っている。中には番組出演後に、第2子をもうけた夫婦もいる。
番組はまだまだ話題を振りまいている。かつては「家の恥」とまで言われていた離婚が、こんな形で大きく論じられるようになるとは、なかなか面白い時代になったものである。