[介護]
ヘルパー不足の長期化や燃料・光熱費の高止まりなど運営コストの増加が響き、2024年の「訪問介護事業者」の倒産が10月までに72件判明し、過去最多を記録した。これからどんどん要介護者が増えるのにこれでいいのか――。
「これからは単身世帯がより増えることが予測され、それにより高齢者へのサービス量が増加します。その一方、ケアマネージャーの数も不足しています」
介護保険制度や行政福祉の調査研究をする日本総研の齊木大さんはこう言う。
どうすればよいのか。介護保険制度は市町村に裁量があり、柔軟で現実的な対応ができるので「課題解決には地域に委ねるのも方法の一つ」と話す。
「地域によって状況に差があります。大都市近郊住宅地は深刻で一気に高齢者が増え、財政的、人的な負担が増えます。その一方人口減が一服した地域の場合、資源は少ないものの腰を据えて対策できます。地域ごとに暮らしの知恵があります。介護は生活そのものなので、本人や地域が持っている知恵を最大限生かし、この制度を長続きさせることが重要です」(齊木さん)
だからこそ現役世代の将来に向けた備えとして「つながり」を持つことが大事だという。世は人手不足なので、新たな仕事に挑戦もできるし、生涯学習などで新たなつながりを作るのもよい。
「自分のライフラインをいくつかつくっておくと、明るい未来も拓けるはずですよ」(齊木さん)
[仕事]
パーソル総合研究所が2024年に公表した推計結果によると、35年には外国人を含む就業者は増えるが、人手不足は変わらず、働き手で換算すると384万人、23年と比較すると1.85倍深刻になる――そう解説するのはパーソル総合研究所の田村元樹さんだ。労働者不足ではあるが、長く働き続けるためには学ぶことが重要だと強調する。
「変化が激しい社会だからこそ必要なのは変化適応力です」
これまでの延長線上の学びもよいが、新たなことを学ぶのも非常によいことで、可能性を拡大していくと言う。