自分ひとりでこなせる以上の
仕事を進められるのが利点

 デレゲーションすることで、チームメンバーに成長の機会を与えることもできます。より大きな仕事、より複雑な仕事、より重要な仕事を任されることで、部下は責任感や達成感を味わうこともできるのです。彼らはまた、その仕事が新しいスキルを身につけることを必要とし、新しい経験をもたらすため、学ぶことになります。

 そして何よりも重要なのは、他の人に仕事を任せることで、自分ひとりでこなせる以上の仕事が進められるということです。すべての仕事に手が回らないと感じている多くのマネージャーにとっては、この理由でデレゲーションを覚えることが大切です。

 デレゲーションすることですばらしいことが多く生じるにもかかわらず、なぜマネージャーはもっと任せないのでしょうか?理由をいくつかあげてみましょう。

◆完璧主義:自分だけが物事を正しく、あるいは最善の方法でできると信じていて、他の人では正しくできない、あるいはうまくできないのではないかという心配をぬぐえない

◆イメージへの懸念:他の人に物事を頼むと、なぜか自分が怠惰に見られるのではないかと恐れる

◆仕事中毒:絶えず働くべきだと信じ、何でも自分でやらなければと思う

◆支配欲:「仕切りたがり屋」で、細かいことまで管理する必要性を感じている

◆罪悪感:部下に余計な仕事を頼むことに罪悪感を感じ、「まあいいや、自分でやるから…」と言ってしまう

◆時間の問題:「やり方を説明するのに時間をとられたくない」「自分でやったほうがずっと早い」と考え、仕事を任せるとかえって時間がかかると感じる

 あなたはどれにあてはまりますか?

 任せる準備をするための第一歩は、上にあげた理由がどれもリーダーにふさわしくないことに気づくことです。そのためには、次のことを試みてください。