目の前で起きていることだけに
過敏に反応してしまうZ世代
グレタさんと同世代の欧米の若者たちが「環境問題」「労働問題」「基本的人権」を第一に考えて行動しているという話をしました。そして、現在起きているさまざまな紛争や侵略についても親たちの世代とは感覚が違います。
ロシアがウクライナを攻撃するのは許せないけれど、イスラエルのガザに対する攻撃に関してはハマスとの戦争なのだから、無辜の市民が大勢巻き添えになっても「付帯的な損害」として認めざるを得ないという捻れみたいなものが、冷戦期を覚えている世代には受け継がれてきました。
しかし、グレタさんたちをはじめ、かなり多くのZ世代にとって、ハマスのテロに対してイスラエルがガザ市民を集団的懲罰の対象とすることはけして正当化できない。
イスラエルは植民地時代の末期、先進国の都合で建国されたアパルトヘイト国家である。ユダヤ人は歴史的に迫害され続けた民であり、ホロコーストでは人類史上最悪の虐殺を受けたのは事実。
そうではあるが今現在、人種差別の暴虐を行っているのはイスラエルである。イスラエル政府のパレスチナ人に対する圧迫と虐待を批判することは「反ユダヤ主義」とは呼べない。
むしろイスラエルがパレスチナで行っていることの構造は、アメリカで「BLM(ブラック・ライヴズ・マター/アフリカ系アメリカ人のコミュニティーで生まれた、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える、国際的な積極行動主義の運動の総称)」が起きたきっかけとなった、白人警官による黒人への暴行と極めて似ている。
だからこそ「中東におけるアメリカの同盟国だから」とイスラエルを特別扱いして、差別と圧政、殺戮から目を背けることはできない。
こういった姿勢です。すべての差別とジェノサイドに終止符を、とまっすぐに考える傾向がZ世代に見られます。
また、その人権意識が「環境問題」にも同一線上で繋がっています。環境問題はZ世代にとって待ったなしで解決する必要がある課題なのです。同じ逼迫感で「パレスチナ人の命を守り、差別待遇をなくす」こと、アメリカの黒人への差別をなくすことが望まれています。「個別の微調整を加えた、おおむね現状維持」はオプションにありません。