「じゃあ、そういう知識とか、文脈の認識の仕方とかを全部教えればいいじゃん」と思われるだろう。実際そのとおりなのだが、AIの目的によってその難易度は変わってくる。

 たとえば、熱湯コマーシャルの収録スタジオでのみ稼働し、熱湯風呂の前に立つ人を押すか押さないかを判断するだけのAIなら、上島氏の顔や声を判別できるようにすれば事足りるかもしれない。

 しかし、別番組で熱湯風呂ではない別の何か(たとえばクリームパイを持って待ち構えている人とか)を前にした上島氏が「絶対に押すなよ」と言った場合や、ザキヤマやフジモンなどの芸人が上島氏のネタをパクっている場合にどうすべきかをAIに適切に判断させるには、より複雑な知識と判断が必要になるだろう。

 さらに、「絶対に押すなよ」を含めたお笑い一般を理解するAIを作るとなると、至難の業である。このあたりの話題も『自動人形の城』で触れているので、ぜひ読んでいただきたい。

 ちなみにこの「読んでいただきたい」には、「1人10冊ぐらい買っていただき、読んでも読まなくてもいいので絶賛コメントをネットに上げていただき、またテレビ関係の方がいればぜひ来年の正月番組のYOSHIKIの控え室にこの本を置くよう手配していただきたい」という意図を込めているので、宜しくお取りはからいいただければ幸いである。