洋菓子店を営む30代女性・マリさん。1年前に独立したものの、数学が苦手だった彼女はさまざまな壁にぶち当たっていた。そこで大人向けの数学塾を経営する堀口先生に教えを請い、救いの手を求めることに。今回は「1杯目のビールが美味しい理由」を数学的に解明。最初の1杯が格別に美味しい理由を考える。※本稿は、堀口智之『1杯目のビールが美味しい理由を数学的に証明してみました。』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
大人と子どもで1000円の喜びは違う!?
感覚と数式の間にある面白い関係
堀口先生 子供のとき、お小遣いはもらっていましたか?
マリさん はい。少額でしたが月に1000円、2000円という感じでした。
堀口先生 1000円もらったとき、2000円もらったとき、どんな感情でしたか?
マリさん それはもう嬉しくて嬉しくて、何を買うかという計画を立てていました。自分で家計簿をつけるなどして管理していましたよね。
堀口先生 たまに臨時収入が入ってきたりするんですよね。
マリさん なんで知ってるんですか(笑)。今考えればボーナスの月だったのかわかりませんが、たまに臨時収入が入りましたね。おばあちゃんの家に行くとお小遣いをもらえたりして。1000円、2000円を簡単にもらえちゃうんです。
堀口先生 では、同じ質問をしましょう。マリさんが今、どのくらい収入があるかはわかりませんが、今1000円もらえたら、子供のときと比べて嬉しさはどう違いますか?
マリさん うーん、もちろん嬉しいですが、子供のときと比べては喜びは少ないですね。子供のときはまさに衝撃で、何に使おうか、ウキウキしながら計画を練ったものですが。今は「1000円だとランチ1回分か~」とか、冷静に考えてしまいます。
堀口先生 ですよね。今もらっている額や、今もらっている給料と比べたら1000円の少額さがわかりますよね。逆に言えば、子供のときの金額は、所持金がほとんどない状況で1000円もらうわけです。
堀口先生 こういったように、自分の感覚的なものと数式との間には面白い関係があるのですね。実は、1杯目のビールが美味しいのも、そういった理由になります。2杯目のビールが美味しいとはあまり感じません。個人的には。
マリさん わかります(笑)。