ビール1杯目の幸せを
数式にしてみると……

堀口先生 ここで、y=logexのグラフをかいてみます。(※)ただし、関数の形はわかりやすいようにちょっと変形をしています(y=1/loge2・loge(x+1)という式です)。

図表:2-2同書より 拡大画像表示

(※)e:ネイピア数と呼ばれています。2.7くらいの数です。数学的に非常に扱いやすいため、数学ではたくさん登場します。

図表:2-3同書より 拡大画像表示

マリさん えっとこのグラフはどう見ればよいのですか?

堀口先生 x=1のとき、y=1になることは確認できますね。ここから、xが1ずつ増える毎にyの値が増えていくのは確認できるでしょうか?

マリさん はい。

堀口先生 x=1になるとき、ビールの1杯目を飲んだと考えます。そうなると、yが0から1に増えるので、1杯目の“幸せ”を1と表現できるわけです。

マリさん なるほど!でも、なぜlogを考えたんですか?

堀口先生 「ウェーバー・フェヒナーの法則」(編集部注:人間の感覚の大きさは受ける刺激の強さの対数に比例する、という法則)ですね。人の感覚は、logでしたよね。

 さて、2杯目についてとらえていきましょうか。x=2になるとき、y=1.585くらいとなりますから、ビール2杯の幸せの合計は1.585です。うち、2杯目の幸せは、yの増加分ですので、0.585くらいになりますね。先ほどより減っています。

マリさん たしかに、2杯目も美味しいですが、ただ、1杯目と比べれば6割くらいになるわけですね。

2杯目のビールの美味しさは
1杯目と比べると6割ほど

図表:2-4同書より 拡大画像表示